ハリネズミの血尿・子宮疾患について。

最近じわじわとブームになってるハリネズミ
まだまだ獣医学的にも未解明な部分も多く、情報も少ない動物種ですが、女の子の飼い主さんにこれだけは知っていて欲しいので、症例をご報告します。
※手術中の写真もありますので、苦手な方はご注意下さい。

2日前から血尿が出るとのことで来院されたくるりちゃん。
外陰部からの出血の場合は、それが膀胱からなのか子宮からなのかの見極めが重要です。
とはいえ、そこはハリネズミ。
警戒するとすぐに丸まってしまい、お腹をじっくり診せてもらうことはほぼ不可能なので、ガス麻酔で眠ってもらってからレントゲン、超音波検査を実施します。
超音波検査では液体が黒く写りますが、下腹部には黒い影が3つ。
下腹部で液体が貯まってていいのは膀胱だけなので、残りの黒い影は子宮の中の液体ということになります。

子宮内にこれだけ液体があるのは、それだけで異常所見。
血液や膿が貯まっていることを示唆します。

幸いにもくるりちゃんは元気、食欲に問題がなかったので、麻酔リスクも比較的低いと判断し、翌日手術を実施させて頂きました。
ガス麻酔で寝かせてから、毛刈りと消毒。
犬や猫のように気管挿管ができないので、自発呼吸を保てる程度の麻酔管理が重要です。

お腹を開いて、子宮と卵巣の状態を確認。
今回は症状が軽度のうちに手術に踏み切っていることもあり、子宮の腫れはまだそれほどひどくはありませんでした。
大きな血管を吸収糸で縛って、卵巣と子宮を摘出します。

腹壁、皮膚をそれぞれ縫合して手術終了。
無事に目覚めてくれる瞬間がいちばんホッとします。

今回はおそらく子宮内膜炎と思われますが、重度感染を起こしたり腫瘍であった場合は命に関わる可能性があります。
全身状態が悪くなってからだと、麻酔も本当に命がけになってしまう場合も。
メスの血尿は様子みてちゃダメ!ハリネズミの飼い主さんはぜひご記憶下さい。

※ちなみにウサギに関してもほぼ同じことが言えますので、ウサギの飼い主さんも要注意です!

2017年1月29日 | カテゴリー : 病気 | 投稿者 : よつば院長