猫のおしっこを考える。

動物病院には、季節ごとに症例数が増える病気というものがあります。
「◯◯の症例が続いたから、もうこんな季節か〜」というやり取りが、多くの病院では恒例になっています。
そんな動物病院の冬の風物詩(?)のひとつが、猫のおしっこトラブル。
正式には猫下部尿路疾患(FLUTD)と呼ばれたりもしますが、ちょっとした頻尿傾向だけの軽度なものから、ひどい血尿が出る、あるいは逆に尿が出にくくなってしまう重度のものまで、程度は様々です。
特に結石や粘膜のかけらによって尿道が詰まってしまう「尿閉」では、そのまま尿毒症に陥って命に関わる可能性もあるので侮れません。
これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診して下さい。

猫の中でも比較的若いオス猫に起こりやすいおしっこトラブルですが、これを回避するための基本は、とにかく水分をしっかり摂らせて、しっかり排尿をさせること。
多くの猫は冬になると活動性が低下するため、水を飲んだりトイレに行く回数が減ってしまうことが、冬におしっこトラブルが多発する原因になっています。
この点をふまえて、自宅でできる工夫としては以下のような例があります。

 

水分を摂らせるポイント

・水飲み場を増やす
3カ所くらいあると理想的。飮水量は水飲みの数に比例して増加するという研究データがあります。

・水の食器は大きめのものを使う
比較的小さな食器を使っているお家がほとんどだと思いますが、猫はお皿にヒゲが当たるのを嫌います。

・その子の好きな飲み方に合わせる
流水が好きな子ならウォーターファウンテンを使う。食器の素材も金属、プラスチック、陶器で好みが分かれる場合があります。

・ドライフードからウェットフードに変更する。
なかなか水を飲まない子に対してはかなり有効。ウェットフードは80%くらいが水分でできています。
ただしドライフードと比較すると歯石が付きやすくなるので、同時に歯のケアも考えてあげましょう。

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トイレのハードルを下げるポイント

・多頭飼いなら、トイレは頭数+1カ所設ける。
気にしない子は気にしませんが、他の猫が使用したトイレを嫌う場合がほとんどです。

・とにかくこまめに掃除。
想像以上に猫はきれい好き。
最低でも月に1度はトイレの大掃除をしてあげて下さい。

・フードつきのトイレはNG。
猫砂が飛び散らないというメリットはありますが、排泄物の臭いがこもってしまうため猫自身にとってはあまり快適ではありません。

・あまり寒い場所にトイレを設置しない。
想像して下さい。トイレ、我慢しちゃいますよね。

 

こうした少しの工夫で、猫のおしっこトラブルは回避できる場合もあります。
そしてなにより重要なのが、日々の観察。
水の減り方やトイレ砂の固まり具合をしっかり確認してあげて、気になることがあれば早めにご相談下さい。