どうやって選ぶ?犬の混合ワクチン

現在国内で流通している犬の混合ワクチンは1種(パルボウイルス単独)〜10種まで幅広く存在しますが、最も基本的なものが5種混合ワクチン(パルボウイルス、ジステンパー、犬伝染性肝炎+パラインフルエンザ)です。あれ?4種しかないじゃん!と気づいた方は鋭いです。伝染性肝炎は正確にはアデノウイルスⅠ型感染症をさしますが、アデノウイルスには風邪の症状をもたらすⅡ型というものも存在します。どちらもアデノウイルスなので、同時に2つの病気を予防できるため5種のカウントになります。ペットショップやブリーダーから渡されたワクチン証明書をご確認いただくと、おそらく5種混合ワクチンのシールが貼ってあると思います。

当院で採用しているワクチンには5種混合ワクチンに加えて、7種混合ワクチンがあり、レプトスピラ感染症が追加になります。主な症状は肝障害、腎障害で、感染時の死亡率は50%以上です。自然界ではネズミをはじめとする野生動物の尿に中にレプトスピラ菌が排出され、尿で汚染された土壌を歩き回ることで皮膚を通して感染します。湿った環境では、排出された菌は数週間感染力を保ちます。この病気の厄介なところは、感染した動物の尿を介して人間にもうつってしまう可能性があること。特に抵抗力の弱いお子様や高齢者の方は注意が必要です。

これらの点から、レプトスピラのワクチン接種が推奨になるのは以下の条件に該当する場合です。

 ・通常の散歩コースに河川敷やドッグラン、畑の側などが含まれる。

 ・キャンプやドライブなど、いろいろなところに連れて行きたい。

 ・ご家族の中に小さなお子様、高齢者の方がいる。

 

これだけ厄介な病気ですが、発生エリアに偏りがあり、西日本での発生が大半を占め、北海道では馴染みが薄い病気でした。ところがここ数年の調査により、北海道内でも確実に犬のレプトスピラ感染症例が増えていることが判ってきました。日本屈指の自然の宝庫である北海道。最大の感染源である野ネズミに加えて、キツネやアライグマの間でもレプトスピラは広まっています。もともと北海道ではレプトスピラ感染症が多くはないとの意識から、われわれ獣医師も診断が遅れがちなこともあり、実際の犬の感染例は決して少なくはないと思われます。

 

アクティブな犬にはしっかり7種、近所のアスファルトの上しか歩かないおっとり犬には最低限の5種。生活環境に応じて、犬に必要な予防を選択してあげてください。悩んだら接種前にお気軽にご相談を!

2022年3月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : よつば院長