外猫を保護したら。

これまで外で暮らしていた猫を迎え入れるにあたっては、ペットショップ生まれの猫とは少しだけ異なる配慮が必要になります。まず大前提として、これまでの病歴やどんな暮らしをしていたのかが不明な場合がほとんどです。感染症はないか?栄養状態は?予防は必要?などなど、お家に迎えるにあたっていくつかチェックポイントがあります。

 まずは基本的な身体検査。

  • 食欲・元気がある

  これは基本中の基本。

  • 顔がきれい

  目ヤニ、鼻水で顔周りが汚れている場合は、FVR(猫ウイルス性鼻気管炎:いわゆる猫風邪)が疑われ、治療が必要です。

  • 毛艶がよく、痒がったりもしていない

  特に顔周りなどの皮膚がかさぶたのようにガサガサになっている場合は疥癬を疑います。また、耳垢が異常に多い場合は耳ダニの可能性があります。どちらも駆虫薬を用いて治療します。

  • ころころした便が出ている

   下痢、軟便の場合は原因を調べます。通常、猫の便は跡が残らずに拾える程度の固さです。

  • 痩せ過ぎず、太り過ぎず

   単純にごはんが足りていなかったり、またどこかのお家で美味しいものをもらい過ぎていたりということがほとんどですが、中には病気で痩せたり、お腹が膨らむこともあります。

外からわかる範囲の身体検査を終えたら、最低限以下の検査を行いましょう。

  • 検便(寄生虫検査)

 小指の先ほどの便で検査可能です。腸の中に住み着いている寄生虫を確認するために行いますが、一度の検便だけでは虫を発見できないこともあります。もし寄生虫が確認できない場合であっても、念のために一度は駆虫薬を与えておくとより安心です。

  • ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病)

 少量の血液を使って検査を行います。仮に感染している場合でも、猫エイズで感染後約2ヶ月、猫白血病で約1か月経たないと、検査結果に反映されません。正確な結果を得るためには、自宅に迎えて概ね2ヶ月後の検査がお勧めです。

そして最後に、これから健康で長く暮らしていくための予防を行います。

 ・予防注射に関しては、4ヶ月未満の仔猫は2回、それ以上の猫は1回のワクチン接種が必要です。通常は室内猫用の3種混合ワクチンで十分です。

  • 避妊・去勢手術は将来的な病気の予防だけでなく、外出したいというストレスを軽減するために有効と考えられています。

 

 参考までに、当院の推奨スケジュールは以下の通りです。

健康診断・検便

ワクチン接種 1回目

  ↓ 4週間

(ワクチン接種 2回目)※仔猫のみ

  ↓ 4週間

避妊・去勢手術 併せてウイルス検査

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ここまで終えると、晴れて新しい家族として迎える準備は万端です。

出会いのかたちは様々ですが、縁あって結ばれた猫ちゃんとの暮らしを楽しんで下さい!