道民なら一度は耳にしたことがある寄生虫、エキノコックス。
「キツネに触ると危ないらしいよ」とか、「川の水を飲んだら感染するんでしょ」など、色々とご存知の方も多いはず。
実はこの病気、愛犬家にとっては、極めて重要な病気なんです。
キツネとの関連ばかりが取り上げられがちなエキノコックスですが、キツネと同様に犬も重要な感染源になります。
ちょっとキツネっぽい柴犬はもちろん、キツネとは似ても似つかないシーズーやパグまで全ての犬が、エキノコックスに感染する可能性があります。
いま愛犬の顔を思い浮かべて心配したあなた、ご安心下さい。
万が一あなたのわんちゃんがエキノコックスに感染しても、基本的に何の症状もありません。
よほどの大量寄生の場合でも、軽い下痢をする程度ですし、数ヶ月でエキノコックスは勝手に寿命を迎えていなくなります。
問題はその間、あなたの愛犬は1日最大500万個もの虫卵をうんちと一緒に排出してしまうということです。
卵の大きさは約35ミクロン(0.035mm)、もちろん肉眼では発見できません。
そしてこの虫卵があなたや家族の口に入ってしまうと、腸から血管やリンパ管に侵入して、多くの場合は肝臓に寄生します。
肝臓に入ったエキノコックスはゆっくりと増殖して、約10年かけてあなたの肝臓をぼろぼろにしてしまいます。
残念ながら人がエキノコックスに感染すると、有効な治療薬は存在せず、エキノコックスごと肝臓を切除することがほぼ唯一の治療法です。
実際の調査では、北海道内の飼育犬の0.5%が、外飼いの犬に限れば1%がエキノコックス虫卵を排出していたというデータがあり、道内では毎年20人程度の新規患者が報告されています。
身近なところでは、2006年に千歳市で飼育されている室内犬からエキノコックスが検出された例があり、千歳恵庭エリアも油断はできません。
当院のそばでも時々キツネが歩いてたりするので、当然といえば当然ですが・・・。
ではどんな点に注意すればいいかというと、とにかくネズミを補食させないことに尽きます。
エキノコックスの幼虫はネズミの肝臓に寄生しているので、生きたネズミの補食はもちろん、ネズミの死骸を拾い食いしても感染のリスクはあります。
また、エキノコックスが犬に感染してから、糞便中に虫卵を排出するようになるまでには約1ヶ月(正確には28日)かかるので、1ヶ月おきに駆虫薬を与えることで人への感染をブロックできます。
最近ではフィラリア予防と併せてエキノコックスの駆除もできる予防薬が発売になり、当院でも今年からお取り扱いを開始しています。
特にドッグランや山歩きが好きな子や、散歩中の拾い食いが気になる子、ご自宅周辺でキツネやネズミを見かける頻度が高い場合には、ぜひ予防薬の切り替えをご検討下さい。
エキノコックス予防は、犬のためではなく、あなたと家族のための予防です!!
北海道では一年中駆虫薬を飲ませたほうがいいのですか?
もし野外で野鼠の死骸に接触する可能性があるのであれば、季節を問わず通年の予防をお勧めします。
自宅周辺でキツネと遭遇するのでエキノコックス予防薬について教えていただきたいです。
どのくらいの頻度(回数)が必要で価格も知りたいです。お願いいたします。
予防は毎月1回です。
薬価につきましては犬の体重によって異なり、また各病院ごとに設定されているため、直接お問い合わせ下さい。
問い合わせいたします。ご返信ありがとうございました。